東宝 1人当たり売上の継続的な改善が強み

東宝分析

今回は、「シン・ゴジラ」「君の名は」のヒットを飛ばしている東宝株式会社を取り上げました。1958年の年間映画館入場者数11.27億人をピークにその後下がり続け、2015年は1.67億人です。現在では、インターネット技術の進歩と家庭用テレビの大型化・高解像度化、さらにはスマートテレビ化に伴い、映画鑑賞の観点における映画館の存在意義は確実に変化しています。東宝㈱の経営状況はどうなっているのでしょうか。
2012~2016年までの5年間(連結財務諸表)を分析してみました。

東宝分析

企業力総合評価は、160.06P→152.79P→160.47P→164.17P→171.42Pと推移しています。2013年に7P落ちたのは、流動性が原因のようです(青色矢印)。他の指標は全て改善を示しています。
営業効率(儲かるかの指標)、資本効率(資本の利用度の指標)、生産効率(人の利用度の指標)、安全性(長期資金繰りの指標)は4期連続改善しています。
資産効率(資産の利用度の指標)は、5期連続赤信号領域です。企業力総合評価が高く、他の指標が絶好調な場合、資産効率が悪くても問題がありません。その多くが、積極的な投資や、その結果利益の獲得・流動資産(現金預金や売掛金など)獲得が原因である為です。
流動性(短期資金繰りの指標)は、2013年大きく悪化しています。100億円の社債の償還が1年以内に迫った為です。社債はその後償還され残高はゼロになりました。
営業効率の各下位指標を確認してみましょう。

東宝営業効率

増収・増益が着実です。純粋増分を見ると、売上高総利益率、売上高営業利益率、売上高経常利益率も共に軒並み改善しています。売上高経常利益率は18.51%と、他の業種と比べても高収益企業であると言えます。
安定した改善・高い利益率を支えているのは一体何でしょうか。

営業効率を改善させる効果のある生産効率の各下位指標・その関連項目を調べてみました。

(開示基準により、人件費合計に集計できない費目が存在する可能性があります。)

東宝生産効率1人当たり売上給与
通常増収であれば従業員数は増加します。増益ならなおさらですが、東宝㈱の総従業員数はむしろ減っています。そのため1人当たり売上高、1人当たり売上総利益、1人当たり経常利益も共に増加しています。1人当たり経常利益は7,452,536円と2012年に比較して2.5倍になっています。

人件費の推移をみるとほとんど増加しておらず、増収であることから人件費率は改善しています。
平均年間給与、平均年齢の2つは東宝㈱単体のデータですが、ほとんど変わっていません。平均年齢は、人の出入りの多い会社は激変することが多いのですが、東宝㈱では39才前後で安定しています。まるで、入社してきちんと仕事を覚え、会社に貢献して、定年が来たら円満退職。先輩達の努力の上に更に努力を積み重ねて、結果を残しています、と言っているようです。
東宝㈱は、映画事業(売上割合66.0%)、演劇事業(同6.5%)、不動産事業(同27.1%)及びその他の事業(同0.4%)を展開しています。各事業の売上高営業利益率は、映画事業は17.23%、演劇事業は23.25%、不動産事業23.81%及びその他の事業3.08%です。映画事業に対する外部環境の厳しさは早い時代にはじまり、その中で生き残りをかけて努力されてきたのでしょう。

まとめ
財務分析は、改善の糸口を捉えるキッカケとなるものです。財務分析指標の推移を見ながら推論し、その推論を裏付ける数値を拾っていく。その繰り返しの中で、自社の経営状況を理解し、何をすべきかを獲得します。 貴方なら、次、どの指標を調べ、ドリルダウンしますか?

SPLENDID21NEWS第131号【2016年10月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

sp21news131東宝

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