M&A・破綻・その他

家電各社 2002年家電不況からの脱出




経営分析というと自社だけの財務分析だけでよしとすることが多いようですが、得意先・業界の分析や競合他社の動きの中に自社を位置付ける必要があります。自社やクライアントを船井電機に置き換えて考察を加えてみてください。

経済記事は、日本経済が2002年に首の皮一枚でつながり、陽転し始めたことを2005年末の記事で伝えていますが、SPLENDID21で総合電機の分析を行なえば、日本経済の流れをミクロ経済分析の統合化として把握することができます。

総合電機10社のうち、6社は2002年に鋭角的に総合評価を下げていますが、これが2002年の景気の谷と一致します。これらの企業を得意先とする中小企業や中堅企業、上場企業の多くもこの影響を受け、2002年に総合評価が鋭角的に下落したものと推察されます。

家電各社分析

SPLENDID21の悪化成り行き倍率(※1)は2002年に上記6社はいずれも1年をつけています。その後、日立製作所、松下電器産業は2003年に青信号領域に回復し、その他4社も改善成り行き倍率(※2)が1年となり、その後、4社とも青信号領域に回復しています。また、V字回復後あるいは改善成り行き倍率が1年を示したあと、株価が上昇しています。

※1 悪化成り行き倍率とはあと何年で危険ゾーンに入るかを示す。

※2 改善成り行き倍率とはあと何年で正常圏に行くかを示す。

それでは、ソニー、シャープ、三洋電機、パイオニア、船井電機はどうでしょう。

家電各社分析2

【ソニー】

SPLENDID21の悪化成り行き倍率は、ソニーが2002年、2004年に5年がついています。

2004年に2度目の5年がついて、CEOが入れ替わりました。2005年は回復傾向にあります。

【シャープ】

シャープのSPLENDID21の悪化成り行き倍率は、2002年に7年がついています。それ以外の年度は順調です。安い人件費と生産コストを武器にした韓国や台湾、中国メーカーとのグローバル競争、購買力が強大化した流通からの要求の挟撃に会い、日本の電機産業の収益力が低下する中、唯一の常勝企業がシャープであると言えます。

【三洋電機】

三洋電機のSPLENDID21の悪化成り行き倍率は、2002年に3年、2003年、2005年に1年がついています。三洋電機の2006年3月期の最終赤字は2000億円前後と予想されているので、2006年は危険ゾーンに入るでしょう。兄弟会社の歴史を背負う、松下電器産業は、傘下の日本ビクターの立て直しに手を焼いているので、三洋電機の救済には躊躇するのではないかという憶測も流れています。実際、総合電機各社の総合評価は「団栗の背比べ」状態であり、シャープの総合評価が130超である以外は、総合評価はどうにか100超の状態であり、他社を救済すると自社に危機を招く状態にあります。

【パイオニア】

パイオニアのSPLENDID21の悪化成り行き倍率は、2005年に2年をつけています。プラズマテレビ、DVDレコーダー、カーナビゲーションを事業の3本柱にしているパイオニアの急激な悪化は、プラズマテレビ、DVDレコーダーが営業赤字に陥ったのが原因とされています。特に、プラズマはNECから工場を買収しましたが、当て外れの状態となってしまいました。

【船井電機】

新興勢力の船井電機はどうでしょう。

船井電機総合評価

SPLENDID21の成長の定義は、総合評価が200に限りなく近づくことですから、船井電機は著しい成長を遂げています。また、自己資本比率も良好です。デジタル家電は、開発コストが増え続ける一方ですが、反面、投資回収の期間はどんどん短くなっています。また、総合電機各社とも、得意分野に経営資源を集中し、成長が見込めない分野からは撤退する「選択と集中」に力を入れています。総合電機各社の総合評価は「団栗の背比べ」状態であり、シャープの総合評価が130超である以外は、総合評価はどうにか100超の状態であり、他社を救済できる状態にないことを考えると、船井電機にとっては、絶好のM&A、業務提携のチャンスが到来しているといえます。

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SPLENDID21NEWS第3号【2006年2月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

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