増益・減益

総資産回転期間が20.7月 京セラ 




今回は京セラ株式会社を分析してみましょう。京セラ?は1959年4月にファインセラミックスの専門メーカーとして京都で創業されました。京セラ?の社名に負けないくらい、今JALの経営立て直しに奔走する創業者の稲盛和夫氏も有名です。

企業力総合評価は2009年下落しました。他社の下落と比べると、それほど大きな悪化ではないことが分ります。企業力総合評価の2009年の下落は営業効率(儲かるか)、資本効率(資本の利用度)の悪化が響いているようです。

営業効率、資本効率は2007年2008年改善し、天井に向かいましたが2009年、急落しました。その後、2010年回復に向かっています。

生産効率(人の利用度)は、2007年改善しましたが、それ以降は悪化トレンドです。従業員数は2009年を除いて増加しており、攻めの経営姿勢であることが分ります。

資産効率(資産の利用度)は5期赤信号領域でほぼ底地を示しています。総資産回転期間(総資産額÷1か月売上高)が20.7月もあります。20.7月は通常、資産過多と判断される場合もありますが、「投資をしっかりしているから総資産が沢山ある。」とも言えるわけです。京セラ?の場合、営業効率が良いので、投資は成功していると推察されます。

流動性(短期資金繰り)は、ほぼ天井値をつけて申し分ありません。

安全性(長期資金繰り)も、ほぼ天井値をつけてこれも素晴らしい成績です。

営業効率の各指標は、以下のとおりです。

経常利益率の推移を見てください。リーマンショック前は9.99~13.55%をマークしています。ビックリする方も多い筈です。

このような経営をする会社は、すべての原単位で利益を出す仕組みを徹底した会社でのみ見られます。以前、NEWS13号でご紹介した日本レストランシステム?も、すべてが稼げるお店を作っていらっしゃいました。

稲盛和夫氏も著書の中でその経営について述べておられます。

稲盛和夫氏 著書『アメーバ経営』まえがき

・・・・・・・・また、アメーバごとに経営の内容が正確に把握できる、独創的で精緻な部門別採算管理の仕組みを構築した。同時に、経営をガラス張りにし、部門別の経営の実態が誰にでもわかるようにした。さらに、アメーバ経営は経営哲学と一体でなければならないので、そのルールや仕組みのひとつひとつが京セラの企業哲学と明確につながるようにした。(中略) 京セラやKDDIだけでなく、すでに300社を超える企業が、京セラの関連会社のコンサルティングを受けながらアメーバ経営を導入し、業績を飛躍的に伸ばしている。アメーバ経営を正しく理解し、トップ自らが先頭に立って真面目に真摯に実践すれば、必ず企業の体質を大幅に強化することができると確信している。

このような、原単位ごとの採算をとる管理をする会社は、リーマンショックなどの経営環境悪化に強くなります。そのことは、営業効率の下落が少ないことから分ります。

過去において不採算事業をやめることをためらい、企業力を落としてしまった?ニッセンホールディングスをご紹介します。宝飾品・呉服商品等催事販売事業のリストラの遅れは、創業時からという思い入れがあったためと言われています。

 

まとめ 

稲盛和夫氏が育てられた京セラ?の経営は、彼自身が著書、講演会活動、コンサルティングを通じて広めておられます。自社の育成にとどまらず、他社の経営改善に尽力される姿に頭がさがります。

このサイトをご覧になられ、財務分析やそれを超えて経営診断スキルアップをご検討の方は「ビジネス即戦力の財務分析講座(初級・中級・上級)」「M&A戦略立案のための財務分析講座」をご受講下さい。ご案内はここをクリックして下さい。

SPLENDID21NEWS第63号【2011年2月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

sp21news063?

関連記事

ニッセン ビジネスモデル劣化時にどう対応したか


財務分析のためのeラーニング講座

簿記・会計知識ゼロでも”一気にプロ並み”になれる! 「ビジネスで使える即戦力の財務分析」「M&A戦略立案のための財務分析」が学べる2つのオンライン講座
経営に生かす財務分析
M&A分析のための財務分析