規模拡大

攻める会社の財務分析指標の特徴 トリドール 




今回は、株式会社トリドールを分析しました。誰でも知っている丸亀製麺が主業態です。

一押しメニューが280円の釜揚げうどん、釜揚げ家族うどんは並6玉入って1200円と破格値で勝負しています。ロードサイド店が多かったですが、最近はショッピングモールなど人の集まる処での出店を増やしているようです。

昨年末にSPLENDID21のシステムを全面リニューアルしました。ビジュアルも大きく変え、10年分析を出来るようにしました。これは、リーマン・ショックを境に経営が変わり、全体性の変遷を時系列で観察し易くする為です。

2013年3月期までの10年間を分析してみました。

企業力総合評価は、121.43→116.81→127.27→119.88→117.00→123.47→115.03→110.72→114.69→113.03と110~120ポイントの幅で緩やかな悪化トレンドで推移しています。店舗展開や、繁盛度を見ていると納得できない方も多いと思います。

その原因は下位指標にあります。営業効率(儲かるか)、資本効率(資本の利用度)は絶好調です。しかし、生産効率(人の利用度)が10期連続赤信号領域です。資産効率(資産の利用度)と流動性(短期資金繰り)は悪化トレンドで、総合評価が緩やかに悪化しているのはこの影響でしょう。資産効率と流動性の悪化は投資に意欲的な会社が起こりがちのパターンの一つです。(もともと現金商売、食品を扱うことから、売掛債権、棚卸資産が少なく流動性が低い業界です。)安全性は改善トレンドですね。営業効率、資本効率が良く、利益剰余金も溜まり、自己資本比率を押し上げています。

売上高の91.15%が丸亀製麺業態ですから、ほぼ丸亀製麺の状況を示していると言って良いでしょう。

リーマン・ショックはどうだったのでしょうか。青丸が2009年3月期です。企業力総合評価は改善しています。生産効率と流動性が貢献しているようです。資産効率と安全性が悪化しています。調べてみると2009年3月期、982百万円増資、4,454百万円有利子負債を増やし右上表のように、総資本が115.20%増えています。現金預金も3,815百万円増やしています。売上増加率の推移と合わせて見れば、?トリドールは、リーマン・ショック対応で資金調達して現金預金比率を高めたものの、財務対応にとどまらず、攻めの姿勢は崩さなかったことが分かります。

2009年をもう少し詳しく説明しましょう。

生産効率が改善したのは2009年売上高増加率>従業員増加率であった為です。その為1人当り売上高が改善して生産効率が改善しました。この不等式を時系列でみていくと売上高増加率が大きかったのは3期、従業員増加率が大きかったのは6期です。若干人材育成という意味では弱いようです。

人材育成に力を入れる会社のそれとは異なります。別の見方をすれば、飲食業の従業者を集める苦労の表れなのかもしれません。

資産効率の悪化と安全性の悪化は、増資、有利子負債を増加させた為に総資本(総資産)が増加し、売上に対して資産が増え、資産効率が悪化しました。自己資本増加に対して総資本(総資産)が増えて自己資本比率が悪化し、安全性が悪化したのです。

流動性の改善はもうわかりますね。現金預金の増加です。

営業効率指標を示しておきます。見事な10年です。

まとめ

システムリニューアルと2014年お正月発行ということで、10年成長している会社を取り上げてみました。企業力総合評価は「攻め」すぎる?為、右肩上がりにはなりませんが、9期連続増収増益で利益率も上がっています。生産効率に課題はあるものの立派です。

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SPLENDID21NEWS第98号【2014年1月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

sp21news098トリドール

 

 

 


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