増益・減益

数字の番人不在?! ライフネット生命保険




ライフネット生命保険株式会社は若い世代をターゲットにした格安生命保険会社です。若い方の死亡リスクは低く、保険料を安く抑えることができるのは理解できますが、経営状況はどうなっているのでしょうか。

経営状況を俯瞰 ライフネット生命保険の企業分析

2019年3月期までの5年間を分析してみました。2020年3月期決算の発表が2か月以内にありますが、第3四半期決算を見る限り、2020年3月期は、経営状況は更に悪くなっています。

企業力総合評価(成長曲線)は青信号領域ギリギリで九十九折(つづらおり)になっています。営業効率(儲かるかの評価)資本効率(資本活用度)も同じ形状ですので、この影響を受けているようです。また、WARNINGが3つついており、総合評価の評価を悪化補正して見る必要があります。多変量解析企業力総合評価分析SPLENDID21では、総合評価が良いのに警告を意味するWARNINGが点灯することがあります。いくつかのケースがありますが、今回は利益剰余金がマイナス(毎期赤字を出して来た)で資本の欠損が起こっているためです。
生産効率(人の活用度)は青信号領域にあり、営業マンを置かず、宣伝からネット検索、申込ができるようにしている為でしょう。
資産効率(資産活用度)は底値です。これは業種特質であると思われます。
流動性(短期資金繰り)は悪化トレンド、安全性(長期資金繰り・潰れにくさ)は、青信号領域の天井値に近いもののジワリと悪化してきています。資本の欠損が起こっていても安全性がこれほど良いのは、資本金や資本剰余金が十分にあり、資金が固定化される固定資産の金額が僅少である為です。

成長を阻んだ要因 営業効率考察 ライフネット生命保険の企業分析

営業効率を見てみましょう。
売上高は順調に伸びていますが、5期連続で営業損失、売上高営業利益率は良いときで-1.81%、悪いときは-20.13%とありえないレベルの数字をたたき出しています。
不思議ではありませんか。若い加入者が多く、人件費を掛けず、増収しており、保険料は継続して入金する収益安定モデル。保険金支払い額も少ないであろうし、黒字化は容易であると予想される方が多い筈です。

どこが問題か ライフネット生命保険

業歴15年足らずで従業員200人ほど、保険料等収入12,159百万円入ってきて、KDDI株式会社が25.02%株式を保有し、金融機関、金融商品取引事業者などの株主が73.15%締めるという特異性がありますが、実は、最近分析した会社(ソフトバンクGLINEペッパーフードサービス等)と同じ傾向があります。
「数字の番人がいないか、その発言力が弱い」です。
下記が一つの事例です。保険料等収入増収額は前年と比較して増加した金額を示しています。広告宣伝費と比べると広告宣伝費の方が遥かに大きいのですね。解約があることを勘案しても、広告宣伝活動が効果的に増収につながっていないことは容易に想像できます。また、広告宣伝費と営業損失を比較すれば、ここに問題があると言わざるを得ません。

まとめ

増収の為にかけられるコストはその効果を測定すべきです。
広告宣伝費と増収額、営業利益は事例の一つに過ぎません。他にも不思議な数字の動きがいくつも見つかりました。

編集後記 コロナは歴史の教科書に載るのでしょうね。生き延びなくっちゃ(^^♪  文責JY
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