人材活用度

国会中継だけでない 数字で読む NTTドコモ




格安プランahamoや、価格が税抜表示から税込表示への変更に合わせて消費税分を値引きする等、庶民には嬉しい話題満載のNTTドコモ。その一方、総務省幹部と菅首相長男が務める東北新社の繰り返し接待問題から、参議院予算委員会の集中審議で参考人として社長が呼ばれるなど、耳目を集めています。

企業力総覧 NTTドコモ

2012~2021年3月期までの10年間の連結財務諸表を分析しました。2021年3月期は2020年9月の第2四半期のデータを入力し、従業員数は2020年3月期の50%の数字で処理しました。

企業力総合評価168.55ポイント→165.62P→167.17P→166.66P→168.32P→172.90P→169.22P→161.56P→155.17P→157.55Pとジワリとした悪化トレンドです。

流動性の悪化が総合評価を引き下げる大きな原因と言えますが、営業効率も気になります。

営業効率の天井値をつけ、とても儲かる会社でしたが、ジワリと悪化トレンドです。

生産効率が鉄壁 NTTドコモ

鉄壁は生産効率です。

生産効率は、1人当たり売上高や1人当たり利益など、人がどれくらい稼いでいるかを示す財務指標です。ここでは直近の10年を扱っていますが、それ以前から、同社の生産効率は天井値になっています。

NTTドコモの事業は、1000万円の売上を上げるために、必ず1人の人間が汗を流さなければないといった労働集約的なものではありません。巨額の設備投資こそ必要ですが、それをクリアすれば、青天井です。携帯キャリアがしのぎを削ってきたのは、その理由があるのかもしれません。

生産効率を見てみましょう。

売上高・従業員数 財務数値の確認 NTTドコモ

NTTドコモは売上高4兆6513億円、従業員数は34,370人(2020年3月期)の日本有数の巨大企業です。

売上高では、2019年まではジワリとした増収トレンド、2016年までは従業員増加トレンドでした。

もし、従業員増加を止めなかったら2020年の減収はなかったのか?!と思われた方は数字のトレンド観察力が鋭いと言えます。

1人当たり売上高・1人当たり経常利益 生産効率の財務指標の確認 NTTドコモ

1人当たり財務指標を見て下さい。

1人当たり売上高は2019年3月期で1億3800万円、1人当たり経常利益2900万円です。

当然ですが、1人当たり売上高を超えて給料は払えません。飲食業など労働集約的な事業形態の会社の1人当たり売上高は1000万円を超えることは稀で、その為、労働条件も厳しくなります。

NTTドコモの1人当たり経常利益は、同年2900万円で、特筆すべきものがあります。

労働集約的でも生産性が高い M&A関連の会社

労働集約的でも、労働条件が良いのは、M&Aの会社があります。M&Aキャピタルパートナーズ㈱は1人当たり給与が3109万円で、日本一といわれています。

1人当たり売上高5965万円なので、売上の52%は給料に支払われて消えます。超労働集約的ですね。

まとめ

定量的情報を判断の基礎に据えて、定性情報を加味することをお薦めします。

定性情報を基礎にして定量情報を加味する判断は、基礎に主観的評価が入り過ぎて不安定になります。

ネットでの無記の評判・コメントを判断の根拠にしていませんか。

編集後記 少し内容に「ゆらぎ」を含めました。「もし、従業員増加を止めなかったら2020年の減収はなかったのか?!と思われた方は数字のトレンド観察力が鋭いと言えます。」の一文に違和感を覚えた方は、財務分析を基礎に戦略立案ができる人です。
(^^♪  文責JY
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大変申し訳ありませんが、多忙の為、3月も解説会をお休みします。

早く再開できるようにいたします。

このコラムを、SPLENDID21NEWS第184号 【2021年3月15日発行】として、A3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

SPLENDID21NEWS第184号NTTドコモ


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