資産活用度

「なぜ賃上げするか」は「勝ちが見えているから」 しまむら




 

 

株式会社しまむらは、郊外を中心に衣料品チェーンストアを全国展開する埼玉県さいたま市の企業です。しまむら、アベイル、バースデイ、シャンブル、ディバロ、思夢樂の6ブランドを展開しています。コロナ禍にウクライナ侵略と不況感漂う中、賃上げを発表しました。「なぜ、賃上げをするか」の答えは「勝ちが見えているから」でしょう。

経営状況を俯瞰する しまむら

2013~2022年2月期までの10年間の連結財務諸表を分析しました。

企業力総合評価は高い位置にありますが、2019~2020年に悪化し、その後改善しています。

理由はドリルダウンすればすぐに見つけることができます。営業効率、資本効率の悪化です。この悪化が企業力総合評価に大きな影響を与えています。

生産効率は2021~2022年にかけて急改善しています。資産効率は悪化。これは説明が要りませんね。儲かって利益剰余金と流動性が高まり、総資産が増えるので資産効率は悪化します。

流動性、安全性は申し分ありません。

売上高利益率・営業効率の考察 しまむら

営業効率の各下位指標を見ていきましょう。

2020年までは、(売上高)販管比率の悪化で一貫しています。そのため、営業効率がジワリと悪化傾向です。2018年までは増収ですが2019~2020年まで減収。

店舗数推移 しまむら

㈱しまむらは注意深く店舗ごとの採算を管理していたでしょう。実際、退店も多く、2019年以降、店舗総数は横ばいになってしまいました。

㈱しまむらとしては、店舗数を増やせば、増収になってきますが、店舗コストのかかり、棚卸資産の重圧もあります。

棚卸資産回転期間回転期間の悪化を見逃さない しまむら

下グラフの棚卸資産回転期間は2020年まで悪化、売れ残りや陳腐化リスクが高まり利益を圧迫してきます。

店舗増大より、ECサイト販売で少在庫、店舗コストフリーになったお金を、商品力の強化やECサイト運営力増強などに回した方が良いと考えるでしょう。2021~2022年ECサイトを立ち上げました。

2022年、正社員数は3086人に対し、臨時雇用社員の正社員換算数は12005人と、正社員は20%しかいません。従業員は店舗で働く方が多く、接客や品出しの業務を担っておられるのでしょう。

お店を出さなくても売れる商品開発や、魅力的なECサイトの構築・運用人材にシフトし始めたので、それらの人材を増強する為に賃上げを決断したと思われます。

まとめ

㈱しまむらは今後、優良企業であり続ける可能性があります。
(1)棚卸資産回転期間の悪化や、(売上高)販管比率の悪化など、数字を根拠に合理的選択をしている。
(2)生産性向上や賃上げなど国の方針と同じ方向性である。
(3)攻めと守りのバランスが良く、コロナ禍やウクライナ危機等、企業にとっては偶発的な事象に強い。
等が理由です。逆に言えば、数字は殆ど見ない、国の問題意識に無頓着、管理など銃後の守りの従業員を活躍させなければ、㈱しまむらのようにはなれないでしょう。

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編集後記 さてさて、今回は記念すべき200号です。コツコツ続けてきて良かったのは、企業事例がいくらでも提示できるようになったところです。なんでも聞いて下さい!!   (^^♪文責JY

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SPLENDID21NEWS第200号【2022年7月15日発行】としてA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。

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