3-1生産効率(人の活用度を測る財務分析指標)を見てみよう。

生産効率は、1人当たりの効率を測ります。生産効率のみが、決算書に記載されていない数字、従業者数を使います。
生産効率は中小企業ではあまり見られない傾向にあり、大規模企業であっても短期分析に留まるため、自社の悪化に気付かない場合が散見されます。

売上高や利益を従業員数で割って1人当たり売上高や、1人当たり利益を出します。時系列分析をしたり、他社と比較したり、部門やセグメントに分けて分析をし、自社の傾向を掴みます。概論で説明したとおり、1人当たり売上高を超えて給料は出せませんから、高くすることが重要です。しかし、1人当たり売上高が高くても、1人当たり売上総利益が少なければ、販売費及び一般管理費に給与が含まれますので、給与が沢山もらえなくなります。

従業者数は、その会社で働いている人の実数です。例えば、役員になっていても名ばかりの方は従業者に数えません。派遣社員であっても、正社員と同じ時間働いていれば、1人と数えます。パートやアルバイトは勤務時間や雑給から正社員換算して人数を出します。勤務時間から計算する方法は、対象者の延べ勤務時間を正社員1人の年間勤務時間で割って求める。雑給を平均賃金で割って、総労働時間を出し、正社員1人の年間勤務時間で割って求めてもよいでしょう。
パートやアルバイトの割合によっては人件費が大きく変わる可能性がありますが、それらの数字は営業効率に数字としてあらわれるので、そこで分析します。毎期、同じ基準で換算しなければ、意味のある分析にならないので注意しましょう。上場企業を分析するときは、有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」に正社員数と臨時雇用者の正社員換算数が開示されているので、便利です。

生産効率と平均給与を見てみましょう。概論「財務分析ざっと見」で出したものに「1人当たり売上総利益」を加えてみました。

5社並べてみると、平均給与が高いところは1人当たり売上高が高いことは勿論ですが、1人当たり売上総利益が大きくなければ、平均給与は高くありません。日本M&Aセンター・キーエンスの2社と高島屋の違いを見れば分かります。そんなこと当たり前だと思われた方は、概論・営業効率の講で損益計算書をマスターされた方。高島屋は小売業で、売上原価の中には、賃金などは含まれません。人件費は全て販売費及び一般管理費に含まれるので、1人当たり売上総利益それ以上に給与を払うことが出来ないので、1人当たり売上高が高くても、1人当たり売上高総利益が少なければ平均給与は少なくなってしまいます。

1人当たり売上総利益 < 平均給与 のイオンは営業損失になっても高い給与を払っているかといえばそうではありません。実は、平均給与の額の開示は「親会社」の金額が開示され、1人当たり〇〇は「連結グループ」の数字だからです。子会社より親会社が給料が良いということでしょう。

生産効率をつぶさに見ていきましょう。

人の活用についての企業実例はこちら

 

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