資産活用度

リスクを恐れない大胆な 阪和興業




鉄鋼、リサイクルメタル・プライマリーメタル、食品、エネルギー・生活資材の商社、阪和興業株式会社は、子会社88社・関連会社25社、年間連結売上高2兆1640億円です。

経営を俯瞰する 阪和興業

阪和興業株式会社の2014~2023年3月期までの10年間の連結財務諸表を分析しました。2023年は第3四半期データで、従業員数は2022年3月期の3/4で分析しております。

企業力総合評価の改善トレンドは営業効率・資本効率が支えている。2020年の営業効率・資本効率の悪化が安全性に派生し、悪化を引き起こしました。2022年総資産が急増し(資産効率の悪化)、財務体質(流動性・安全性)が悪化したが、2022年12月(第3四半期)には戻しています。

子会社・関連会社・投資先の管理 阪和興業

子会社買収は2014年4社、2015年2社、2016年3社、2017円6社、2018年4社、2019年1社、2020年2社、2021年1社で、2022年以降はゼロ。2016年には「負ののれん発生益」が11億円計上されており、業績の悪い会社も積極的に買っているといえます。

2020年に営業効率が大きく赤信号領域に入っているのは、持分法投資損失が354億円、投資有価証券評価損66億円が原因です。この損失以降、管理レベルを向上させ、持分法投資利益を計上し増額を始めた。

総資産の膨張 鉄鋼市場の活況とウクライナ侵攻 阪和興業

上グラフの2022(3/4)は2021年12月末、第3四半期を示します。2022は2022年3月末を示します。2021年12月は鉄鋼市場の活況、2022年3月はウクライナ侵攻による同市場の高騰の影響で、ともにBSが膨らんでいます。市場価格の高騰がBSに及ぼした影響について、詳しくみていきましょう。

ウクライナ侵攻下でのBS 阪和興業

決算書は全く正直なものです。総資産の増加理由は勘定科目を見ればわかりますし、金額でその規模・リスクも把握できます。2022年3月末のBSで特徴的なものを下に別表示しました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で、ロンドン金属取引所において先物商品価格が急騰し、当該取引等に係る長期差入保証金(2485億円)が発生し、その対応策として短期借入金(4590億円・前からあるものも含む)による資金調達をしています。ヘッジ取引の時価会計処理により、評価損相当の取引先に対する未収入金(2225億円)及び商品先渡負債(1868億円)が両建てで増加しています。

2023年第3四半期の営業効率の改善から、阪和興業は今のところ、ロシアのウクライナ侵攻への影響を上手く切り抜けているといえます。

但し総資産は戻りきらず、まだリスクを背負っているようです。

まとめ

子会社・関連会社の管理レベルを上げるなど、失敗をしてもリカバーする力を持っています。また、ウクライナ侵攻による世界的なインフレや、内外金利差で生まれる円安への阪和興業株式会社の対応が分かりました。BSを3か月(侵攻後から期末まではたった36日)で約1.5倍まで膨らませて、収益性を守ることでインフレを切り抜けるという臨機応変な対応に、大胆な社風が現れているように思います

編集後記 この冬、大阪でロングブーツをはいた女性を見たのは2回でした。ロングブーツは大阪ではほぼ絶滅しました。            (^^♪文責JY

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