M&A・破綻・その他

反転守勢に転じた アウトソーシング 




人材派遣業で売上急増の株式会社アウトソーシング。2013から2022年12月期までの売上高は500億円弱から7,000億円に9年間で14倍です。M&Aを成長戦略に据えていましたが2022年反転守勢に転じました。

経営を俯瞰する アウトソーシング

株式会社アウトソーシングの2013~2022年12月期までの10年間の連結財務諸表を分析しました。

企業力総合評価は増収に反して右肩下がりになっています。営業効率・資本効率など儲けを示す指標が右肩下がりな上、生産効率が底値、資産効率も悪化トレンドで流動性・安全性は振るいません。

生産効率の問題 アウトソーシング

生産効率は1人当たり売上高等の指標を統合しています。人材派遣業の場合、派遣される人は株式会社アウトソーシングに雇用され、従業員となります。生産効率は底値ですが、あまりに悪く、従業員数の正確な開示はなされていない可能性があります。1人当たり売上高は2013年2,859千円、かなり改善した2022年で5,326千円です。固定資産がいらない人材派遣業が「効率性」を高めようとすれば、モノではなくヒトのはずです。従業者数の開示に疑義があることを含め、問題があると感じます。

営業効率は悪化トレンド アウトソーシング

営業効率各下位の財務指標を示します。売上高は9年間で500億円弱から7,000億円に急増していますが、売上高総利益率は2022年まで6期連続悪化しています。売上高は急増しましたが、儲からなくなっています。

総資産の膨らみはのれん アウトソーシング

売上高・総資産・従業員数が増加しています。2013~2022年の間に3社→4社→10社→7社→5社→11社→2社→6社→40社→0社とM&Aで買収しています。それにつれて、のれんなどの無形固定資産も急増し2022年には総資産の34%を占めるようになりました。また、2015年からIFRSを採用しており償却していません。1,339億円ののれん等を営業利益で割ったら6.1年です。償却すれば6年超の営業利益が吹き飛ぶほど膨れ上がってしまいました。モノが必要なくて効率化が不要ではなく、モノ(無形ですが)が膨張しすぎて効率的とは言えません。
のれんを抽出したBSバランスを見ると一目瞭然です。

「反転守勢に転じた」はウクライナ戦争になぞらえていますが、のれんの膨張を反省したのか2022年にM&Aをストップさせているためです。

まとめ

もうそろそろ企業は資産の膨張を気にしてほしいものです。個人にとって資産が沢山あればお金持ちでハッピーかもしれませんが、資産は未来の費用のカタマリでしかなく、うまく運用して利益を出していかないとツケを未来に回しているだけなのです。

編集後記 吉本新喜劇を見てきました。2時間笑いっぱなし。これでもかこれでもかというほど笑わせます。真面目に固まっていても面白くありませんね。    (^_-)-☆ 文責JY

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